ヤッホー! と愉快な山仲間

第34回「隊長不在、北岳さみし!」の巻
北岳山頂
濃い霧と強風の北岳山頂にて


当日のデーター
日 時:平成14年7月19,20日
天 気;19日雨、20日晴れ
参加人数:8名
歩行時間:1日目8時間、2日目7時間
<1日目>
甲府発5:00発--(タクシー)--広河原ロッジ6:30--登山開始7:10⇒白根御池小屋分岐7:40⇒
⇒大樺沢⇒二俣10:00--昼食--小太郎尾根13:00⇒肩の小屋14:15--<宿泊>--
<2日目>
肩の小屋5:00発⇒北岳山頂(3192m)5:45⇒肩の小屋--<朝食>--肩の小屋8:00発⇒
⇒小太郎尾根10:00⇒二俣11:00⇒白根御池小屋分岐13:00⇒広河原ロッジ13:40着--(タクシー)
--芦安温泉着15:00--<入浴>--温泉16:30発--(タクシー)--甲府駅17:50着--<宴会>--
甲府20:05発--新宿21:36着


▽隊長不在! 大番頭頑張る?
標高3000m級へ初挑戦だ。1999年にヤッホー紅隊が登山を開始してより、多忙の講釈師が余裕を見出しては山へと挑む情熱は決して冷めやらず。
登攀回数は30余回を重ね、うち標高2000m超への登山はすでに6回を数えた。満を持しての南アルプス見参である。直前になって「核」たる隊長が体調不良で泣く泣く参加を断念という波乱のスタートとなったが、ご安心あれ大番頭ウ〜ノの命令よく行き届き、富士山に次ぐ日本第二位の高峰、標高3192mの南アルプス・北岳登山は予定通り決行。早朝時間帯の登山、午後早目の小屋入りを目指して参加がかなった隊員は高速バスやJRで順次前夜のうちに甲府入りせり。
【第1日・右俣コースから肩の小屋へ】
▽降り来る雨に行くわれら
夜来の雨はついに止まず、登山第1日目の朝はあいにくの空模様。タクシーに分乗して午前5時に甲府市内を出発。「悪路」との前情報だったが車酔いを心配するほどではなかった。午前6時半過ぎに広河原(標高1529m)到着。大樺沢出合いにあるアルペンプラザ広河原で休憩。更衣室を備えた化粧室、きれいな休憩室など設備が充実しており、快適に身支度を整えることができた。午前7時10分スタート。雨具・スパッツに身を固め、降り来る雨に踏み出すも、標高のおかげで下界のような蒸し暑さはない。A班はウ〜ノメガミ〜タ浜たんトーサンカズロフ千幸西南がB班と二つのパーティーを組んで、まずは広河原の吊り橋を渡る。「毎朝4時に起きるというショースケはいったい何時に広河原を出発したのだろう」と思いながら、ショースケが前日テントを張った広河原山荘の脇を通過した。
アルペンプラザ広河原前
雨のアルペンプラザ広河原前で
    ▽霧もまた楽し
    白根御池小屋から草すべりを経由する登攀ルートを当初は計画していたが、最終的には風通しで勝る二俣コースを選択した。白根御池方面の分岐を右に見送り、まずは大樺沢二俣を目指す。だらだらと緩い登りが続くが、渓流の音を聞きながら霧中を前進するのは快適そのもの。渓流歩きや橋の上でマイナスイオンを浴びるのも一興。川べりの土砂崩れを迂回するあたりが標高約1800m、知らず知らずのうちに300mを登った計算だ。たち込める霧にさえぎられて見事な眺望を眼前に得られないのは寂しいが、視界が届く足元だけを見ながらコツコツ前進する方が精神的な負担が少ないというもので、「霧もまた楽し」である。雨天がかえって登山を楽にする場合もあるのだと身を持って感じる。
大樺沢の渓流1 大樺沢の渓流2
ゴーゴーと流れる大樺沢の渓流を行く
▽径は易しからず、されど山容は優し
トーサン千幸さんが雪渓の上で楽しそうに足を進める。大樺沢二俣(標高2209m)に着いたところで暫時休憩。見上げると北岳バットレスが見事な威容を見せる。広河原から標高差で700m近く登っている。渓流の水で口をすすぐと、SUNTORY「南アルプスの天然水」の味がする。
当たり前か?それでも大樺沢一帯が大腸菌に汚染されているとの調査報告があるといい、飲料水としては二の足を踏む。大樺沢二俣にはバイオ技術を使った二基のトイレが設置されており、女性陣には頼もしい限り。
ほどなく出発。右俣コースの登山道は斜度がきついが、ミヤマキンバイの黄色や白いキタダケソウが至るところに咲いており心を和ませる。径は決して易しからず、されど山容は優しく、登山者を拒む気配はない。脚力に不安があった?浜たんもすいすいと登る。高山病に用心してスピードを抑え目に登っている成果もあってか、特段体調に異変はない。標高2500m見当、お花畑の手前で昼食をとった。
雪渓に遊ぶ
童心に帰り雪渓に遊ぶ
お花畑
右俣コースのお花畑
▽出世の梅花
最後尾が白根御池方面からの合流・分岐に到着したのは午後1時ごろ。肩の小屋へはあと一息だ。小太郎尾根の稜線は眺望絶景のコースのはずだが、悪天で視界がきかない。しかも西からの強風にあおられて歩行すら困難を極める。強風で真横に飛んでくる雨が右頬を打つ。標高2800mを超えたあたりからは前方に立ちはだかる岩が増える。
「胸突き八丁」ということばが頭に浮かぶ。心に決めたリズムが、いや体力に相談したペースが狂うと、何分でも立ち止まることになりそうだ。屏風のような岩場は、講談でおなじみ間垣平九郎・出世の梅花に出てくる愛宕下の急坂を思わせる。平九郎を乗せた馬の心境になる。「旦那ぁ〜。この坂を登るんですかぃ?」 岩場をよじ登るときに上体が起きてしまうとザックの重みで仰向けに倒れそうで恐い。前傾姿勢が必須。体重移動が自ずと慎重になった。
午後3時前には全員無事、肩の小屋に到着。
ブロッケン現象
▽ブロッケン現象
午後6時を廻ったころ、にわかに表が騒がしくなる。雲から時折顔を出す夕陽がブロッケン現象を引き起こしているようだ。ただでさえ小屋の中は皆退屈、我先にと起き上がり外へと人民大移動。なるほど、太陽を背に立って東を向くと、霧のスクリーンの上に丸い七色の輪に囲まれた自分の影が映っている。こりゃ面白い。
雲がときおり切れると数十秒単位で仙丈ガ岳や甲斐駒ガ岳が顔を出し、そこかしこで歓声が上がる。夕陽の美しさに疲れを忘れる。
これがブロッケン現象!
夕陽
山小屋の中
▽山小屋はたいへんだ。
130人ほどが押し込まれた山小屋の2階で、缶に並んだオイルサーディンよろしく並んで横になる。屋根裏に滞留した熱気で気温は30℃近い。金魚を入れすぎた水槽はこんな酸素欠乏を起こすのだろうなと実感。高山病対策で持参したボンベ入りの酸素が思わず役に立った。
朝こそ毛布2枚が必要なほど寒かったが、フリースなどは荷物が膨らむだけで実用的ではなかった。雨具との重ね着を念頭に置いて長袖を準備するのが実践的だ。
酸欠状態の山小屋の中


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