新刊トリケラトプスNo.6 11月6日掲載分


(1)天下騒乱 上下/池宮彰一郎著/角川書店 末國 善己 選
(2)はぐれ柳生無情剣/黒崎裕一郎著/徳間書店 神田 紅 選
(3)戦国吸血鬼伝 信長神異篇/ゆうきりん著
             /ハルキ文庫 鈴木 輝一郎 選

悪と戦うニヒルな達人剣士

今回は偶然にも、三作品共通で剣豪柳生一族が登場。重要な役どころを占めている。
天下騒乱」は、時代小説の大ベテランが渾身の力で書き上げた一年間の新聞連載をまとめたもの。当然大作で力作である。
日本三大仇討ちの一つ、荒木又右衛門の伊賀上野の仇討ちの物語。武士の単なる敵討ちが、旗本や外様大名を巻き込んで天下の大事件に発展していく。「仇討ちはまだか」とやきもきさせられるが、主人公又右衛門らの焦りの気持ちにも重なって、ついに「鍵屋の辻」に来たところでスーッと解消される。武士の「義」に生きる美しさと哀しさに涙。講談では三十六人斬りとなっているが、本文によると死者5名とのこと。納得。
             
紅評点 3.0トリケラ

はぐれ柳生無情剣」は、はぐれ柳生三部作の完結編。「必殺仕掛人」などのシナリオ作家としても有名な作者の最新作。テンポあるチャンバラシーンはさすがだ。無名剣士刀弥平八郎は柳生新陰流の達人。やむなく脱藩して諸国を巡る中で、「まろばしの殺人剣」を駆使して悪と戦う。孤独の陰がつきまとうニヒルなキャラクター。天一坊とのラストのからみまでイッキに持っていく。   紅評点 2.5トリケラ

戦国吸血鬼伝」は、奇想天外な発想で織田信長の周辺を描いている。
浅井長政の裏切りや延暦寺焼き打ちの陰に、悪魔の権化「不死王」の存在あり。それを追って聖堂騎士ステファンらがバチカンからやって来るという、まるでゲームの原作のような軽さとノリ。「そんな」と思うのは世代のせいか・・・。     
紅評点 2.0トリケラ