新刊トリケラトプスNo.1 4月24日掲載分 

(1)大江戸艶魔帖   八剣 浩太郎 著 祥伝社文庫 鈴木 輝一郎 選
(2)柳影       多田 容子 著  講談社   末國 善己選
(3)化粧槍とんぼ切り 森 雅裕 著   集英社   神田 紅 選

「女の生きざまに興味尽きず」

化粧槍とんぼ切り」の時代背景は戦国時代。徳川四天王の一人、本多平八郎の長女稲を主人公にして、彼女の幼なじみの本多正信の娘一重との「女の生き様」合戦が展開される。タイプの全く違う二人の女。稲は男まさり、一重は色白の美貌の姫。はじめ真田信幸の妻に一重が選ばれるが、運命は一転、稲が輿入れすることになる。どちらの女の人生が幸せだったのか、最後まで興味は尽きない。稲が婚礼の引き出物として所望したのが、本多家の家宝名槍「蜻蛉(とんぼ)切り」。これが徳川にたたる「村正」の作。もう一方の主人公は槍であり刀であり、刀工達である。作者はかなりの刀剣マニアか。稲の影になって働く研師"望斎"の折々の手料理も、物語の肴になっている。   紅評点 3.0トリケラ

柳影」は、その構成力に舌を巻いた。
よく計算されている簡潔な時代小説だ、と思う。
主人公柳次の出生の秘密は最後まで謎で、それがかえって柳次を魅力的にする。木挽町の「茉屋」を舞台に、陰間の世界が妖しく描かれていくが、端正な顔立ちの作者はまだ二十歳代後半の女性と知ってビックリ。男同士の官能的な絡み合いの描写の緻密なこと。
手裏剣の名手柳次は、女の心を乱すと言われる媚薬「られん香」のような肉体を持ち、それを武器に神隠しの事件を追っていく。
 
                
紅評点 2.5トリケラ 
 
大江戸艶魔帖」は、カタカナ入り歴史注釈付き爆笑時代小説。雨月蓬野の飄々とした捕物帖が、現代人を癒してくれる。エッチもほのぼのと。
           
     紅評点 2.0トリケラ